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グラクソ・スミスクラインの「セレタイド」、COPD治療に飛躍的な前進を示す |
2003-02-25 |
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グラクソ・スミスクラインのセレタイド(キシナホ酸サルメテロール〔以下S〕50μg と 吸入ステロイド薬のプロピオン酸フルチカゾン〔以下FP〕500μg との配合剤)が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の国際的な大規模比較試験において、有効性を有意に示したとの結果が今月のランセット誌 に掲載されました。これは、長時間作動型気管支拡張薬としてすでに評価を得ているキシナホ酸サルメテロールの単剤投与と比べて、高い有効性を示したというものです。この試験結果はCOPD治療の大きな前進を示し、患者や医療従事者に新たな希望を与えるものです。
トリスタン (TRISTAN、TRial of Inhaled STeroids ANd long acting beta2 agonists) と呼ばれるこの臨床試験は、受療中の中等症から重症のCOPD患者1465名を対象に、配合剤であるセレタイドとその配合成分の各単剤(SおよびFP)、およびプラセボとを比較した試験です。試験の結果、セレタイド群は、キシナホ酸サルメテロール群と比較して、ほぼ2倍の肺機能の改善(FEV1)を示しました(セレタイド群に対する各治療群の差: +133ml placebo, +73ml S, +95ml FP, p<0.0001)。さらにセレタイド群では、呼吸困難症状の有意で、より良好なコントロールが得られ(調整した平均スコア1.59に対し1.47)、また週当たりの夜間覚醒回数の減少が見られました(2.31 vs. 2.94)。
本試験の主研究者であるP.カルバリー教授は、次のように述べています。「COPDは、世界で急増している病気の一つです。COPDの死亡数が250万人(2000年) に達しているにもかかわらず、残念なことにいまだ満足できるような治療手段があまりありません。この試験結果は、キシナホ酸サルメテロールに吸入ステロイド剤を加えた配合剤セレタイドが、患者に大きな変化をもたらすことができ、医師にとっては現在の標準治療より効果的な治療手段が得られることを示唆しています。これは大変重要なことです。」
入院治療を必要とする場合、そのほとんどが中等・重症の急性増悪が原因であると考えられます 。その急性増悪は、セレタイドを投与された群では、プラセボ群に比べ25%減少し、また、経口ステロイド剤の投与を要する急性増悪は39%減少しました。また、プロピオン酸フルチカゾンを投与された患者群と比較して、セレタイド群では、健康状態の有意な改善が見られました(健康状態:St George's Respiratory Questionnaireという質問表により定義された状態 )。
トリスタン試験の他にも、キシナホ酸サルメテロールと、プロピオン酸フルチカゾンの併用が、COPD患者の予後を改善することを示唆する研究結果が示されています。レトロスペクティブな解析を行った最近の2件の研究結果(英国 General Practice Research のデータベース-GPRD を用いたもの、および米国のMapelらによる研究 )によると、キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの併用がCOPDと診断された患者の生存率を有意に高めることが示されています。さらにその他の試験では、この2剤の併用が、肺機能を改善させ 、息切れを軽減し 、さらにQOL(生活の質)を改善する 可能性を示しています。
GOLDのガイドライン は、吸入による気管支拡張薬で治療を開始することを推奨しています 。この治療で効果が不充分な場合は、吸入ステロイド薬の追加が考えられます。いくつかのレトロスペクティブな研究結果が、COPD治療に吸入ステロイド薬を使用することで、入院の頻度が減少し、死亡率が低下することを示唆しており5, 、長時間作動型β2刺激薬と吸入ステロイド薬の併用ではさらに高い効果が得られます5。
COPDは、気道の炎症 、気流の制限10、気道粘膜線毛の異常10、および気道の構造変化10など多くの要因を特徴とするマルチコンポーネント(複合的要素が関係する)疾患です。呼吸困難などの症状や急性増悪など、肺機能の複雑な変化を来すこれらの要因は、健康状態に多大な影響を及ぼし、時には死に至る場合もあります。
トリスタン試験は、52週間におよぶ二重盲検無作為化プラセボ比較試験で、25ヶ国で行われました。中等症から重症のCOPD患者に、無作為にセレタイド(358名)、キシナホ酸サルメテロール(372名)、プロピオン酸フルチカゾン(374名)またはプラセボ(361名)が割り当てられ、1日2回、吸入器ディスカスを使用して投与されました。本試験の参加者は、本試験の治療に加え、それまでの治療も通常通り受けました。
先月セレタイドは、COPDの新しい治療薬として欧州医薬品委員会より肯定的な評価を受けました。これにより、数ケ月後には欧州において正式な販売承認を取得し、2003年の前半にはセレタイドが新しいCOPDの治療薬としてヨーロッパにおいて上市されることになります。
グラクソ・スミスクラインは、世界の呼吸器市場をリードする製薬企業であり、呼吸器系用剤において幅広いラインナップを揃えています。喘息治療の柱である吸入ステロイド薬フルタイド(プロピオン酸フルチカゾン)と、長時間作動型吸入β2刺激薬(気管支拡張薬)のセレベント(キシナホ酸サルメテロール)が、コントローラーとして、またサルタノール(硫酸サルブタモール)がリリーバーとして位置づけられています。これらはすべて、本邦において気管支喘息での適応症を取得しています。またセレベントは、2002年4月、気管支喘息での適応症に加え、日本で初めて慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の適応症名での適応症を取得しました。
<記者の方へ>
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)とは:
COPD治療の国際的な診断・管理・予防のガイドラインである、GOLD (Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)では、COPDは、「完全に可逆的ではない気流制限を特徴とする疾患」として定義されている。この気流制限は通常進行性で、たばこ煙のような有毒な粒子に対する肺組織の異常な炎症性反応と関連している。COPD(慢性閉塞性肺疾患)には、"慢性気管支炎"と"肺気腫"が含まれる。臨床的には「慢性の咳、痰、呼吸困難」を引き起こし、中高年以降に発症することが多く、喫煙が主要なリスクファクターであると報告されている。福地教授(順天堂大学)らによる疫学調査の結果では、潜在患者数は530万人以上と推定されている。
COPDの「急性増悪」について:
COPDの患者は、しばしば急性の呼吸器症状の悪化をきたすことがある。原因は主に呼吸器感染症であり、その他に大気汚染、肺炎、心不全などがある。COPD増悪の明確な定義は現在まだ存在していない。COPDのある特定症状の悪化を増悪と定義することもあり、また、抗生剤や経口ステロイド剤による治療が必要となるような、あるいは入院が必要となるような急激な臨床状態の変化を増悪と定義することもある。COPDの増悪は、死亡率の増加や、健康状態の低下に重大な影響を与えることが知られている。
グラクソ・スミスクラインの呼吸器領域製品について:
『セレベント』: 一般名 キシナホ酸サルメテロール、長時間作動型吸入気管支拡張薬(LABA: Long-acting inhaled β2-agonist)
小児、成人における気管支喘息と、慢性閉塞性肺疾患の治療薬である。
本邦において2002年6月に発売。『セレベント』は、日本で初めて「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)」の適応症を取得した。
『フルタイド』:一般名 プロピオン酸フルチカゾン、吸入ステロイド薬(ICS: Inhaled corticosteroid)
本邦において1998年に発売。小児、成人における、気管支喘息治療薬である。
『Seretide』(日本での製品名は「セレタイド」(予定), プロピオン酸フルチカゾンとキシナホ酸サルメテロールの配合剤)
上記2剤(セレベント、フルタイド)両成分を含む配合製剤である。海外では気管支喘息の治療薬として80カ国以上で承認されており、COPDの適応症においては10カ国以上の国で承認されている。日本では、現在開発段階(フェーズIII) にある。
『サルタノール』: 一般名 硫酸サルブタモール、短間作動型吸入気管支拡張薬(SABA: Short-acting inhaledβ2-agonist)
本邦においては、1978年に発売。気管支喘息、小児喘息、肺気腫、急・慢性気管支炎、肺結核の治療薬である。発作発現時にリリーバー(発作治療薬)として頓用される薬剤である。
『ディスカス』:60吸入分の薬剤ブリスターを充填した吸入器 |
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