|
|
|
 |
 |
生命にかかわる増悪(症状の急激な悪化)、多くが報告されておらず ―COPD患者の「無言の苦しみ」― ブラックプール・スタディーより |
2004-10-20 |
|
|
| |
スコットランドのグラスゴーで開催された第14回ヨーロッパ呼吸器学会(European Respiratory Society)において、半数以上のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者が、多くの場合生命にかかわる増悪(症状の急激な悪化)を医師に伝えていないとの新しいデータが発表されました1,2。このブラックプール・スタディーと称する試験は、全世界の推定6億人のCOPD患者に対してよりよいケアが急務であることを示唆するものです3。
ボストンのタフツ大学医学部のバルトローム・チェリ教授は以下の通りコメントしています。
「今回のデータは、生命にかかわる増悪をおこした患者さんが、それがいかに健康に深刻な影響を及ぼし、病気を急速に悪化させ、死に至る可能性があることを知らないという現実を表しています。しかし幸いなことに、増悪は予防も治療も可能であり、これらの患者さんが無言で苦しまなくても良いように緊急に対策を講じる必要があります。」チェリ教授は、世界の専門家から成る増悪タスクフォースを編成し、増悪のより良い治療、予防および管理の措置を求めています。
COPDの増悪とは、重い息切れ4、肺粘膜の感染による痰の増産4、喘鳴5、咽頭痛5、鼻づまりおよび鼻水5、そして咳5等のコントロール不良な症状の極めて急速な悪化を特徴とします。これに加えて、二酸化炭素中毒の兆候である錯乱状態、発熱および過剰の眠気を含む症状があり、極めて重篤で場合によっては死に至る可能性があります。
このブラックプール・スタディーは、1年にわたり309人のCOPD患者を対象に増悪の影響を評価しました*。患者さんは、日記式のカードを使用し、増悪を記録しました。ここにおける増悪とは、症状の悪化によって経口ステロイド剤や抗生剤による治療が必要となった場合と定義されました。増悪が患者さんの生活の質に多大な影響を与え、悪化と死に至るリスクを増大させるにもかかわらず、中等症から重症のCOPD患者が経験した増悪のうち52%が、また軽症のCOPD**患者が経験した増悪のうち43%が医療従事者に伝えられていなかったことが明らかになりました1、2。309名のうち61%が1年にわたるこの試験で少なくとも2回の増悪を経験し、合計426件の増悪が報告されました1,2。これらからCOPDの増悪は、この疾患の重篤なイベントであり、そのあらゆる段階で患者さんに影響をおよぼすことが示されました。
「ブラックプール・スタディーの以前のデータでは、入院患者の健康状態が「死よりも悲惨」な状態※に等しいことが示されていたにもかかわらず、今回のデータにより、増悪時にかかりつけ医の診察を受けていないことが明らかになりました。増悪は、COPD患者の健康状態の継続的な悪化のことであり、治療の変更を要します。COPD患者は、増悪を報告しないことにより健康状態の管理やさらなる増悪の予防に必要な治療を受けることができません。」とこの試験の統括医で英国リバプールにあるAintree大学病院のジョン・オライリー顧問医師はコメントしています。
また、ヨーロッパ呼吸器学会で発表された更なる研究では、キシナホ酸サルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの配合剤(セレタイド500/50 μg )が、経口ステロイド剤の治療を要する増悪のリスクを42%減少させ6、増悪に伴う金銭的負担を減少させるという対費用効果の高い方法を提供することが示されました7。
増悪タスクフォース
増悪タスクフォースは、増しつつある増悪による負担に対応するために編成され、一次医療、二次医療、看護、患者アドボカシーおよびヘルスケアの利用の分野における専門家の見解を示すものです。増悪タスクフォースは、ヨーロッパ呼吸器学会で増悪サミットを召集し、以下のアクションを要請しました。
COPDの増悪は、予防可能であり治療できるという認識を高める
COPDに関する患者の知識を高め、増悪の定義および説明のためのより明確な用語を使用する
増悪の予防および治療の方策を立てる
総合的なケアのためのモデル・プログラムを提供する
COPDの診断を確認するために増悪のおきている患者さんにスパイロメトリーの使用を推奨する
欧州におけるCOPD患者の増悪による平均入院日数は、9日間であり、病院資源のかなりの負担となっています。欧州の入院患者にかかるCOPD関連費用は、29億ユーロであり、外来患者においては47億ユーロに上ります8。COPD患者の約8人に1人は、増悪により入院しています9。
そのうちの
半数が集中治療室での治療を必要とします10
10人に1人が病院で死亡しています10
3分の1が6ヵ月以内に死亡しています10
1年以内に半数弱(43%)が死亡しています10
3年以内に3分の2が死亡しています11
「COPDの症状が急変して不安な場合、すぐに医者に連絡を取ることを強く勧めます。COPDの増悪は、重篤なイベントであり、緊急に治療を要します。」とドイツ、フランクフルトのMaingau病院の一次診療医であるピーター・カルドス医師はコメントしています。
また、順天堂大学の福地教授は、「日本では、COPD潜在患者が約530万人以上いると推定されておりますが、そのほとんどは診断されていないのが現状です。喫煙人口が多い日本においてはCOPDは今後ますます社会に大きなインパクトを及ぼすでしょう。ブッラックプール・スタディは、多くの患者が生命を脅かす疾患に罹患しているという事実を強く認識させるものです。」とコメントしています。
参考
* ブラックプール・スタディーでは、一次医療を受けている 309名のCOPD患者の健康状態および医療資源の利用に対するCOPDの増悪のインパクトが評価されました。
** ブラックプール・スタディーでは、中等症から重症のCOPDを1秒間努力呼気容量(FEV1)<50%、軽症のCOPDをFEV1≧50%と定義しました。
※ 2003年に開催されたアメリカ胸部学会で発表されたHealth Utility Burden for Exacerbation of COPD Requiring Admission into Hospital as Measured by the EQ-5Dによれば、増悪をおこしている入院患者の80%の健康状態が「死よりも悲惨」な状態に等しいことが報告されています。この試験では、EQ-5Dを用いて健康状態を測定し、健康状態が良好である場合が1、死が0としました。80名の入院患者のうち64名(80%)の値がマイナスであったため、「死よりも悲惨」な状態と感じていることが明らかになりました。
スパイロメトリーとは、正常呼吸および努力呼吸時の呼吸気流量を測るもので、気道の閉塞の有無を示すものです。
COPD増悪タスクフォースは、グラクソ・スミスクラインの助成金によりスポンサーされています。
生きる喜びを、もっと Do more, feel better, live longer
グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業であり、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすことを企業使命としています。
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)とは:
COPD治療の国際的な診断・管理・予防のガイドラインである、GOLD (Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、「完全に可逆的ではない気流制限を特徴とする疾患」として定義されている。この気流制限は通常進行性で、たばこ煙のような有毒な粒子に対する肺組織の異常な炎症性反応と関連している。COPDには、"慢性気管支炎"と"肺気腫"が含まれる。臨床的には「慢性の咳、痰、呼吸困難」を引き起こし、中高年以降に発症することが多く、喫煙が主要なリスクファクターであると報告されている。福地教授(順天堂大学)らによる疫学調査の結果では、潜在患者数は530万人以上と推定されている。
GSKの呼吸器領域製品
「セレタイド」(プロピオン酸フルチカゾンとキシナホ酸サルメテロールの配合剤)
「セレベント」と「フルタイド」の両成分を含む配合剤で、海外では気管支喘息の治療薬として110カ国以上で承認されており、COPDの適応症では60カ国以上の国で承認されています。日本においては製品名「セレタイド」で成人および小児における気管支喘息を適応として2004年4月15日に承認申請を行いました。
「セレベント」(一般名:キシナホ酸サルメテロール)
長時間作動型吸入気管支拡張薬(LABA: Long-acting inhaled β2-agonist)で小児、成人における気管支喘息と、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬です。日本で初めてCOPDの適応症も取得し、2002年6月に発売しました。
「フルタイド」(一般名:プロピオン酸フルチカゾン)
吸入ステロイド喘息治療薬(ICS: Inhaled corticosteroid)で1998年に発売しました。小児、成人における、気管支喘息治療薬です。
「サルタノール」(一般名:硫酸サルブタモール)
短時間作動型吸入気管支拡張薬(SABA: Short-acting inhaled β2-agonist)で1978年に発売しました。気管支喘息、小児喘息、肺気腫、急・慢性気管支炎、肺結核の治療薬です。発作発現時に発作治療薬(リリーバー)として頓用される薬剤です。
References
1. O'Reilly J, Williams A. E., Rice L. and Holt K. Incidence and impact of healthcare defined exacerbations amongst a cohort of primary care COPD patients, Abstract to be presented at ERS September 2004
2. O'Reilly J., Williams D. T., Rice L. and Williams A. E. Exacerbation prevention – should we revisit the thresholds for intervention? Poster presentation, ERS September 2004
3. World Health Report 1998. Life in the 21st Century: A Vision for All. World Health Organisation 1998
4. Wedzicha JA, Exacerbations. Etiology and Pathophysiologic Mechanisms. Chest 2002; 121: 136S-141S
5. European Federation of Allergy and Airways Associations www.efanet.org/copd last accessed on 13th July 2004
6. Hunjan, M.K. and Williams D.T. Salmeterol / fluticasone propionate combination is clinically effective in avoiding exacerbations in patients with moderate / severe COPD Abstract to be presented at ERS September 2004
7. Hunjan, M.K. and Williams D.T. Costs of avoiding exacerbations in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD) treated with salmeterol / fluticasone proprionate combination (Seretide) and salmeterol. Abstract to be presented at ERS September 2004
8. European Lung White Book - The First Comprehensive Survey on Respiratory Health in Europe. European Respiratory Society and the European Lung Foundation, 2003. Pp40-41.
9. Anto JM, Vermeire P, Vestbo J, Sunyer J. Epidemiology of chronic obstructive pulmonary disease. Eur Respir J 2001; 17: 982-994.
10. Stoller JK. Acute exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease. N Engl J Med 2002; 346(13): 988-994
11. Almagro P, Calbo E, Ochoa de Echaguen A et al. Mortality after hospitalisation for COPD. Chest 2002; 121: 1441-1148 |
 |
|
|
 |
|