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サルメテロール/フルチカゾン配合剤により致命的な肺疾患であるCOPDの患者に多大な恩恵がもたらされることが画期的試験で示唆される |
2007-02-26 |
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COPD患者の死亡率に薬物療法が及ぼす効果を検討した
初の大規模試験1の結果がNew England Journal of Medicine誌に掲載
[ロンドン発] - 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関する国際的な大規模臨床試験であるTORCH (TOwards a Revolution in COPD Health)試験の結果が、2007年2月22日発行のNew England Journal of Medicine誌に掲載されました1。COPDは、乳がんおよび肺がんによる死亡者数の合計よりも多くの患者が死亡している疾患であり2,3、TORCH試験は、薬物治療がCOPD患者の生存に及ぼす影響を検討した世界で初めての試験です。試験結果からは、「Seretide」(サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン配合剤)により、COPD患者に多大な恩恵がもたらされることが示されました。本試験は3年間にわたって実施され、主要評価項目として全死因死亡率の減少が検討され、主な副次的評価項目としてCOPD増悪(症状の悪化)の改善およびQOL(生活の質)の向上が検討されました。得られた結果は、「Seretide」の添付文書に記載することを検討すべく、現在、世界各国の当局に提出されています。
本試験の結果、「Seretide」(サルメテロール50μg/プロピオン酸フルチカゾン500μg)を投与された患者群における3年間の全死因死亡リスクが、プラセボを投与された患者群と比較して17.5%減少したことが示されました(p=0.052)。この結果は、規定の統計学的有意水準(p=0.050)には達しませんでした。また、「Seretide」の投与によって、COPD増悪(しばしば呼吸困難をともなう症状の悪化)の発現率がプラセボに対し25%有意に減少することが示されました。COPD増悪はCOPD患者の入院の主な原因となり、身体的・精神的に影響を及ぼします。COPD増悪を経験した患者の多くはその影響から完全に回復することはありません4。
「Seretide」投与群では、QOLおよびCOPD患者の肺機能の指標として広く用いられているFEV1(1秒量)において、3年間の長期にわたり有意な改善が認められました(p<0.001)。一般的にCOPD患者の健康状態は徐々に悪化するものですが、「Seretide」投与群においては、3年間の試験終了時点まで、試験開始時に比べ良好な健康状態が維持されていました。COPD患者のQOLは非常に低く、患者はしばしば不安、挫折感、憂鬱な気分を感じています5,6。加えて、疲労感(睡眠の阻害により一層増す)や息切れは、患者の身体的な活動を制限するのみならず、経済的・社会的生活にも影響を及ぼします7。また、COPD患者の75%が階段を上るだけで息切れを起こすなど、日常生活に支障をきたしています8。
本試験の研究責任者であるPeter Calverley教授は、「これほど意欲的な試験を実施できたことをたいへん誇りに思っています。この試験は、薬物治療がCOPD患者の生存期間の延長とQOLの改善の両者に及ぼす影響を検討した初めての試験です。TORCH試験の運営委員会は、得られた結果は臨床的に重要であると考えます。また、患者を衰弱させ死に至らしめることもあるCOPDに対する我々の理解が深まり、COPDの管理・治療方法の選択肢を患者さんに十分に説明して選択することが可能となるものと考えます」と述べています。
また、本試験では、吸入ステロイド薬を含む投与群において、有害事象または重篤な有害事象として、肺炎のリスクが高まることが示されました。しかし、試験中の肺炎による死亡数は、プラセボ群7人、サルメテロール群9人、プロピオン酸フルチカゾン群13人、「Seretide」群8人であり、「Seretide」群においては肺炎による死亡リスク増加との関連性は認められませんでした。また、「Seretide」群はプラセボ群と比較して、骨または眼の異常が増加することもありませんでした1。
国際的なCOPDの診断、管理、予防に関するガイドラインであるGOLDにおける治療の目標は、症状を緩和させることに加え、COPD増悪を予防すること、QOLを向上させること、死亡率を減少させることです9。これまで、COPD患者の生存率を改善する方法は、禁煙、酸素療法、肺容量減少手術のみであるとされていたのに対し、TORCH試験は、COPD患者の生存率に薬物療法が効果を及ぼすことを証明するために実施された初めての試験です1。
グラクソ・スミスクラインの呼吸器領域薬治療薬開発センター(Respiratory Medicines Development Centre)を率いるDarrell Bakerは、「この画期的試験の結果を喜ばしく思います。得られた結果を『Seretide』の添付文書に記載することを検討すべく、現在、世界各国の当局に提出しています」と述べています。
TORCH試験はグラクソ・スミスクラインの後援により実施されました。
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グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業であり、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすことを企業使命としています。
<参考資料>
COPDについて
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、患者を徐々に衰弱させ死に至らしめる可能性のある疾患ですが、予防・治療が可能な疾患でもあります。COPDは、いくつもの異なった要因からなり、肺の気流制限と呼吸困難を生じます。これらの要因とは、気道の炎症の亢進、肺組織の損傷・構造変化、体重減少、衰弱・消耗などで、健康状態やさらには生命まで脅かします。生存期間を延長することは、COPD患者の治療において満たされていない最大のニーズです1。
2020年までにCOPDは世界の死因の第3位となり、身体・精神障害の要因としては虚血性心疾患、うつ病、交通事故、脳血管障害に次ぐ第5位になると予測されています10。また現在、COPDによって、世界中で毎時間250人が亡くなっていると推測されています11。
TORCH試験について
TORCH (TOwards a Revolution in COPD Health)試験は、「Seretide」(サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン配合剤)50μg /500 μgがCOPD患者の生存率に及ぼす影響について、プロスペクティブに検討した初めてかつ最大規模の試験です。この試験は3年間にわたる多施設共同無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照試験です。42カ国の444施設において実施され、欧州呼吸器学会の定義に合致したCOPD患者約6100人を、以下の4つの投与群に無作為に割り付けて行われました1。
1) プラセボ
2) サルメテロール (50 μg)
3) プロピオン酸フルチカゾン (500 μg)
4) 「Seretide」 (50μg /500 μg)
いずれの薬剤も吸入器 「ディスカス」を用いて1日2回吸入
全ての投与群において、試験期間を通じて抗コリン薬、テオフィリン、サルブタモールといったCOPD治療薬の使用は認められていました(患者群間で使用量は同様でした)。一方、試験期間中には、吸入ステロイド薬、長期の経口ステロイド薬、長時間作用型気管支拡張薬の使用は禁止されました。
この試験の主要評価項目は全死因死亡率の減少であり、「Seretide」とプラセボの比較が行われました。副次的な評価項目には以下が含まれていました1。
・COPDの増悪 (全身性ステロイドおよび/または抗生物質投与を要する中等度の増悪、あるいは入院を要する重度の増悪の発現率にて評価)
・QOL(St George's Respiratory Questionnaire [SGRQ]質問票にて評価)
TORCH試験でみられた全死因死亡率の「Seretide」群とプラセボ群の差は、事前に定義された有意水準には達しませんでした。New England Journal of Medicine誌において、本試験の論文執筆者らは、死亡率に関する評価項目において統計学的有意差が得られなかったことに関し、本試験における全体の死亡率が予測より低かったため、またプラセボ投与群において試験からの脱落者が特に多く、脱落後は「Seretide」等の治療薬を自由に使用できるものの、最終の死亡率解析においてはプラセボ群として解析されたためであろうと考察しています1。
「Seretide」について
サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン配合剤のEU各国(ドイツを除く)での製品名は「Seretide」です。同剤のドイツでの製品名は「Viani」、米国およびカナダでは「Advair」です。
「Seretide」は、吸入ステロイド薬であるプロピオン酸フルチカゾンと、長時間作用型気管支拡張薬であるサルメテロールの配合剤です。各々の配合成分が、炎症を根底にさまざまな病態を伴う疾患であるCOPDの病態生理のさまざまな側面に対する効果を有します。
COPD患者にみられる炎症は、疾患の初期の段階から認められ、疾患の進行に関与しています12。「Seretide」には、吸入ステロイド(ICS)単独療法において認められる抗炎症作用よりもさらに広範な抗炎症作用が認められています13,14。
EU諸国においては、サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン50μg/500μg配合剤は、重度のCOPD(1秒量<予測値の50%)があり、度重なる増悪の既往がある患者で、定期的な気管支拡張薬療法にもかかわらず顕著な症状が認められる患者への対症療法として承認されています。
米国では、サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン50μg/250μg配合剤が慢性気管支炎に伴うCOPDを有する患者における気流閉塞の1日2回投与維持療法として承認されています。50μg/500μg配合剤はCOPD治療薬としては米国では承認されていません。
同剤の50μg/250μg配合剤および50μg/500μg配合剤は、それ以外の40カ国以上(オーストラリア、カナダ、メキシコ、トルコ等)においてCOPD治療薬として承認されています。
日本の状況
日本ではCOPDの潜在患者が530万人以上いると推定されています15。年間14000人以上がCOPDで亡くなっており、死亡原因別順位は10位です16。サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾンの配合剤は、本邦において気管支喘息およびCOPDの適応にて現在承認申請中です。本剤は気管支喘息治療薬として、2月23日に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会にて承認を了承されました。
References
1. Peter M.A. Calverley M.D. et al on behalf of the TORCH investigators. Salmeterol and fluticasone propionate and survival in Chronic Obstructive Pulmonary Disease. NEJM 2007; 356: 775-789
2. WHO. The World Health Report 2002. Reducing risks, promoting healthy life
3. Ferlay J, et al., GLOBOCAN 2002. Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide. IARC CancerBase No.5, Version 2.0. IARCPress, Lyon, 2004. 2004
4. Seemungal TAR, Donaldson GC, Bhowmik A, Jeffries DJ, Wedzicha JA. Time course and recovery of exacerbations in patients with chronic obstructive pulmonary disease. Am J Respir Crit Care Med 2000; 161: 1608-1613
5. Thompson WL. Pulmonary Disease. In: Stoudemire A, Fogel BS, Greeberg DB, eds. Psychiatric care of the medical patient. 2nd ed. New York, NY: OxfordUniversityPress; 2000:757-774.
6. Kunik ME, Roundy K, Veazey C, Souchek J, Richardson P, Wray NP, StanleyMA. Surprisingly High Prevalence of Anxiety and Depression in Chronic Breathing Disorders. Chest 2005; 127;1205-1211
7. European Federation of Allergy and Airway Diseases Patients Association. European COPD Patient Manifesto. www.efanet.org. (Last accessed 17 January 2007).
8. Vermeire P. The burden of chronic obstructive pulmonary disease. Respir Med 2002: 96(Suppl C): S3-S10.
9. Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease 2006. Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of COPD. Available from www.goldcopd.org (last accessed 12th January 2007)
10. European Respiratory Society, European Lung Federation, European Lung White Book, 2003.
11. WHO. The World Health Report 2002. Reducing risks, promoting healthy life. MDI.WHR.202.A. Geneva, The World Health Organization; 2002
12. Hogg JC, ChuF. The Nature of Small-Airway Obstruction in Chronic Obstructive Pulmonary Disease. NEMJ 2004; 350;26
13. Yamauchi Y, Christodoulopoulos P, Olivenstein R, Maltais F, Bourbeau J, Hamid Q. The Effect of Salmeterol/Fluticasone Combination on Airway Inflammation in COPD Compared to Fluticasone. PATS 2006; 3(abstracts issue): A113
14. Barnes N, Qiu Y, Pavord I et al. Antiinflammatory Effects of Salmeterol/Fluticasone Proprionate in Chronic Obstructive Lung Disease. Am J Respir Crit Care Med 2006; 173: 736-743
15. Y. Fukuchi et al. COPD in Japan: the Nippon COPD Epidemiology study: Respirology (2004)9. 458-465
16. 厚生労働省 平成17年人口動態統計 |
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