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グラクソ・スミスクライン、米国臨床腫瘍学会(ASCO)2007において 抗がん剤ラパチニブに関する新データを発表 |
2007-06-11 |
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 | ラパチニブ(米国での製品名:Tykerb、以下:Tykerb)は乳がん治療に最も一般的に使われるパクリタキセル(製品名:タキソール®)との併用で、転移性のHER2(ErbB2)陽性の乳がん患者さんに対し、一次治療の抗がん剤として初めて使用された。 |  | 医療ニーズの満たされていないHER2陽性の乳がんによる脳転移に対するTykerbの効果として; | | - | Tykerbによる単剤療法を行った19%の患者さんにおいて、脳転移巣が縮小した | | - | 拡大して実施した試験において、Tykerbとカペシタビンの併用で40%の患者さんにおいて、脳転移巣が縮小した |
グラクソ・スミスクラインplc(本社:英国 以下GSK)は、画期的な低分子HER2キナーゼ阻害剤であるTykerb (一般名:ラパチニブトシル酸塩水和物)に関する3つの試験から示された最新データについて発表しました。 これらの試験結果およびその他のTykerbに関する重要なデータは、米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)において発表されたものです。 これらの設定でのTykerbの使用は研究段階のものです。
GSKのがん領域治療薬開発センターのシニア・バイス・プレジデントであるパウロ・パオレッティ氏は次のようにコメントしています。
「今回のASCOで発表されたしっかりとした臨床データは、HER2陽性の乳がん患者さんに対する治療レジメンにTykerbが不可欠な薬剤として大きな可能性を持っていることを示しています。GSKは新たな治療レジメンや、同剤がどのような患者さんに効果を示すかを特定するための臨床試験プログラムに積極的に取り組んでいます。この学会で発表されたデータは、がん治療の向上に向けたGSKの弛まぬ取り組みを明確に表しています。」
転移性もしくは再発した進行性乳がん患者さんに対する一次治療としてのTykerbのパクリタキセルとの併用について(アブストラクト#1011)
パクリタキセルは乳がん治療における化学療法で最も一般的に使われる抗がん剤の一つであることから、Tykerbと同剤の併用療法の効果検証は、非常に重要となります。
この大規模な多施設でのプロスペクティブ無作為試験は、HER2の過剰発現が見られないもしくは未検査の乳がん患者580人を対象に実施されました。 HER2陰性の乳がんに対する、この併用療法の付加的な効果については認められていませんが、HER2陽性の乳がんであるとレトロスペクティブに特定された91人の患者さんでの分析結果は、Tykerbとパクリタキセルの併用療法が、これまでトラスツズマブの治療を受けていない患者さんにおける無増悪生存率を高めたことを示しました。 |
| HER2陽性の乳がん患者さんに対するTykerbおよびパクリタキセルの併用療法(52例)とパクリタキセル単独療法(39例)において: | | ・ | 無増悪生存期間中央値は; 7.9カ月 vs 5.2カ月 (p=0.007) | | ・ | 効果持続期間中央値は; 7.4カ月 vs 5.5カ月 | | ・ | 完全奏効および部分奏効率は; 60% vs 36% (p = 0.027) | | ・ | 39人の死亡が報告された時点で、全生存期間の有意な改善傾向が見られました。まだ最終ではないものの現存するデータでは生存期間中央値は; 24カ月 vs 19カ月 (p=0.160) |
新たに転移性の乳がんであると診断された患者さんに対する一次治療としてのTykerbおよびパクリタキセルの併用とパクリタキセル単独療法を比較した臨床データによって、併用療法の方がHER2陽性患者さんにおける無増悪生存期間の著しい延長が見られるという最初の科学的エビデンスが得られました。
この試験の代表医師であるイタリア、プラト病院の腫瘍内科部長のアンジェロ・ディ・レオ医師は次のように述べています。
「これらの結果は、がんの臨床的な診療に直接的な影響を及ぼし、がんの一次治療を受ける患者さんに大きなベネフィットをもたらすものになるかもしれません。Tykerbのパクリタキセルとの併用療法は、個々の乳がん患者さんに合った抗がん剤の組み合わせによる治療法を探索する上で、正しい方向に向かっていると考えられます。」
主な有害事象としては、発疹、下痢、悪心・嘔吐、好中球減少症および粘膜炎でした。Tykerbをパクリタキセルと併用することで発疹と下痢の発生率は増えました。重篤な有害事象に関連する死亡は併用療法において多く発生しました。(2.7% vs 0.6%)
Tykerbとタキサン系抗がん剤との併用療法について、いくつかの追加試験がHER2陽性の乳がん患者さんを対象に実施されています。
乳がんの脳転移に対するTykerbの効果について(アブストラクト#1012、#1035)
HER2陽性の転移性乳がんに罹患している女性の1/3に中枢神経や脳への転移が見られます。がんの脳転移に対しては治療の選択肢が今のところ極めて限られており、医療ニーズが大いに満たされていない状況です。この段階まで病態が進行してしまうと予後が悪くなり、平均的な1年生存率は20%程度となってしまいます。
現在実施中の多施設でのフェーズII試験の結果によると、HER2陽性の乳がんから中枢神経に転移し、他剤による治療を受けていた患者さんにおいてTykerbの臨床効果が示されました。この試験に参加した患者さん(241名)は、X線で進行性の脳転移巣が確認されており、トラスツズマブと頭部への放射線治療を事前に受けていた方です。放射線画像所見によるとTykerbが使用された19人(7%)の患者さんにおいて部分奏効(50%以上の脳転移巣の縮小、脳以外の部位における悪性腫瘍の進行がなく、ステロイド剤使用の増加がなく、神経症状の悪化が見られない状態)が認められました。 46人(19%)の患者さんにおいて20%以上の脳転移巣の縮小が見られました。
102人(42%)の患者さんにおいて8週間以上の病状の安定(プロトコール上で定義された複合的評価基準に基づく)が見られました。また、患者さんの22%においてTykerbの単独療法を開始してから最初の6カ月間は病状の進行が見られませんでした。
これまでのフェーズIII試験の予備解析では、カペシタビン単独よりもTykerbとカペシタビンとの併用の方が、脳への転移が有意に低かったと示されていました。そのことから、今回のフェーズII試験においては、Tykerb単独療法をおこなっていたにもかかわらず脳もしくは中枢神経以外の病巣の進行が見られた患者については、Tykerbとカペシタビンとの併用療法が行われました。Tykerbとカペシタビンとの併用療法をおこなった患者さん(40名)の内、8人(20%)において50%以上の脳転移巣の縮小が見られ、16人(40%)において20%以上の脳転移巣の縮小が見られました。
この試験の代表医師であるハーバード・メディカル・スクールのナンシー・リン医師は次のように述べています。
「乳がんの脳転移については、今のところ認められている全身的治療がなく、これを防ぐための有効な治療法が強く求められています。今回のデータではTykerbが血液脳関門を通過し、中枢神経系への効果を発揮することが示されています。Tykerbは脳転移の治療における望みとなるでしょう。」
多く見られた有害事象は、下痢(13%、グレード3または4)、発疹(3%、グレード3または4)、悪心(3%、グレード3)、嘔吐(4%、グレード3)、倦怠感(3%、グレード3)、食欲不振(1%、グレード3)でした。
トラスツズマブによるがん治療を行っていたにもかかわらず進行してしまったHER2陽性の乳がん患者に対するTykerbとカペシタビンとの併用療法とカペシタビン単独療法とを比較した試験のレトロスペクティブな部分集団解析からの脳転移に関するデータ(アブストラクト#1035)では最初の再発で中枢神経への転移が認められた患者さんの数が有意に少なくなっていました(4人vs13人、p=0.0445)。この基となるデータは昨年のASCOで発表されたものです。
現在実施中の臨床試験
GSKはTykerbの乳がんにおけるその他の設定での効果や、その他のがんにおいて同剤がどのような患者さんに効果を示すか特定するための幅広い臨床試験プログラムに取り組んでいます。画期的なフェーズIIIの臨床試験としては、TEACH (Tykerb Evaluation After Chemotherapy)と呼ばれる1,000人以上を対象とした試験があり、これはすでにある程度の結果が出ています。このTEACH試験はTykerbによるアジュバント療法によって初期のHER2陽性乳がん患者さん(リンパ節転移がある場合とない場合)の無増悪生存率期間が延長できるか検証するものです。
ラパチニブについて
ラパチニブは、HER2のチロシンキナーゼ受容体を阻害する経口の低分子化合物です。HER2受容体のシグナルは細胞増殖に関与し、さらにはがんの進行および転移に関わる複数のプロセスに関与しています。この受容体はさまざまなヒトの腫瘍に過剰発現し、予後や生存率の低下に関与しています。
ラパチニブは本年3月13日付けで米国FDAより承認されました(米国での製品名:Tykerb)。承認された適応症は、他剤(アントラサイクリン、タキサン、トラスツズマブを含む)による治療歴のあるHER2過剰発現の進行性又は転移性乳がんに対するTykerbとカペシタビンの併用療法です。
同剤は本年5月にスイスでも承認を取得しています(スイスでの製品名:Tyverb)。
欧州をはじめスイスやカナダ、ブラジル、オーストラリア、韓国など世界の多くの国において、同剤の承認に向けた申請がなされています。
* 日本においても本年3月30日付で、ラパチニブの承認申請を行いました。
安全性について
HER2過剰発現の乳がんに対する他の治療と同様にTykerbを投与された患者さんにおいて左室駆出率(LVEF)の低下が確認されました。コントロール不能または症候性の狭心症や不整脈、うっ血性心不全といった心疾患を持病として持つ患者さんに対して同剤を使用する際には注意が必要です。Tykerbによる治療を始める際には事前にLVEFの検査を行うことが必要です。
薬剤服用による肝障害を持つ患者さんに対して同剤を使用する際には注意が必要です。
Tykerbを使用した際に心電図のQT間隔が長くなる場合があります。 心電図および電解質の経過観察を行ってください。
Tykerbの主な有害事象として、重症なものも含め下痢が起こることがあります。止瀉薬を使用した下痢症状の管理は非常に重要となります。特に重症の場合は経口もしくは静脈注射での電解質や水分の補充とTykerbによる治療の中断が必要になる場合があります。妊娠中の女性に同剤を使用した場合、胎児に悪影響を及ぼすことがあります。同剤を使用する際には妊娠しないよう注意する必要があります。Tykerbおよびカペシタビンの併用療法の主な有害事象は、下痢、手足症候群、悪心、発疹、嘔吐および倦怠感でした。
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