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プレスリリース

うつ病患者のアドヒアランス(能動的な治療参画)向上には3つの鍵、
「患者の正しい知識」「医師との双方向コミュニケーション」「周囲のサポート」

2007-07-30

 
―「うつ病患者のアドヒアランス実態調査」結果より―


グラクソ・スミスクライン株式会社(社長:マーク・デュノワイエ、本社:東京都渋谷区、以下GSK)は、2007年6月、うつ病患者の「アドヒアランス(※1)」の実態を明らかにするため、最近1年間に抗うつ薬を処方された20歳から59歳までのうつ病患者を対象に、抗うつ薬の服用実態、うつ病や抗うつ薬についての理解、医師とのコミュニケーション、周囲のサポートについてアンケート調査(※2)を行いました。

※1 「アドヒアランス(adherence)」とは

「コンプライアンス(服薬遵守)」という医師主導型の概念より一歩進んで、患者が治療法や治療方針を理解・納得し、より能動的・積極的に治療へ参画できる状態をあらわす概念。


<調査結果の主な内容>


抗うつ薬の服用実態・背景因子
うつ病患者の36.9%が自己判断で抗うつ薬の服用量・回数を増減したり服用を中止
患者全体(2,666人)に対して、抗うつ薬の服用状況を尋ねたところ、「完全に指示通り」(27.9%)、「ほとんど指示通り」(43.6%)、「まあ指示通り」(19.4%)を合わせると、90.9%の患者が「医師の指示通りに薬を飲んでいる」と回答しました。
しかし、服用の実態について具体的に尋ねてみると、「意図的に違うように飲んだ/飲まなかった」と回答した患者は36.9%(985人)にのぼり、約4割の患者が抗うつ薬の1回の服用量や1日の服用回数を、自分の判断で増減したり、服用をやめていたことが明らかになりました(図1)。
これら985人のうち、1回あたりの服用量を増やした患者は41.7%、服用量を減らした患者は43.2%、1日の服用回数を増やした患者は22.1%、服用回数を減らした患者は44.8%、また、抗うつ薬の服用をやめた患者は36.4%でした(図2)。




自己判断で抗うつ薬を減量・中止する理由に「漠然とした不安・心配・抵抗感」が2割以上
抗うつ薬の服用量・回数を自己判断で増やした最大の理由は「症状が悪くなった」(30.7%)、次に「なんとなく不安/心配だった」(23.3%)が挙げられました。逆に、服用量を減らした最大の理由は「症状が改善したので」(25.9%)で、「抗うつ薬に対して漠然とした不安・心配・抵抗感がある1 」(20.5%)と続いています。また、服用をやめた最大の理由では「抗うつ薬に対して漠然とした不安・心配・抵抗感がある」(24.0%)、次に「症状が改善したので」(23.1%)が挙げられました(図3-1、3-2)。

1:「抗うつ薬に対して漠然とした不安・心配・抵抗感がある」の割合は、質問項目の「なんとなく不安/心配だった」「薬を飲むのが心配になった」「なるべく薬を飲みたくないと考えている」の3項目を合わせた割合とした。




うつ病・治療に対する患者の理解と気持ち
約8割の患者が「うつ病や患者に対する偏見は根強い」と感じている
「うつ病の認知は高まったと思うが、依然としてうつ病や患者に対する偏見は根強い」と思う患者は、全体の81.9%と非常に高率でした。


約5割の患者が「職場や学校にはうつ病であることを知られたくない」
「家族に知られたくない」(18.1%)、「友人に知られたくない」(36.3%)と比べ、「職場、学校、近所の人に知られたくない」と回答した患者は、51.9%と高い傾向がみられました。


約7割の患者がうつ病の原因を「脳内の神経伝達物質の乱れ」と理解しながらも、「性格・気の持ちようが原因」と思っている患者は4割弱
72.2%の患者は、うつ病の原因が「脳内の神経伝達物質のバランスの乱れ」であることを正しく理解している一方、別の設問では37.4%の患者が「うつ病は自分の性格や気の持ちようが原因で起こる病気」と回答していました。また、この質問に「分からない」と回答した患者18.8%を合わせると、半数以上の患者が、うつ病が器質的な疾患であることを理解しつつ、「自らの性格にも原因がある」と感じている様子が覗えます。


約9割の患者が「焦らずゆっくり治療したい」と思っている一方、6割は「早く仕事・学校に復帰したい」
86.7%の患者が「焦らずゆっくり治療したい」と思っている一方で、「仕事や学校に早く復帰したい」と考えている患者が61.1%もいることが明らかになりました。


抗うつ薬を「怖い」「気休め」と捉えている患者は約15%だが、半数以上は「できれば薬を飲まずに自然に治したい」
抗うつ薬に対して「怖いイメージがあるため服薬に抵抗がある」と回答した患者は15.8%、また「薬は気休め程度であまり効かない」は15.3%と、薬に対してネガティブなイメージを持つ患者は限定的である一方、52.2%の患者は「なるべく薬を飲まずに治したい」と回答しています。


抗うつ薬の効果の発現方法や服用方法と比較して、「副作用」に対する低い理解度
抗うつ薬の効果発現方法や服用方法について質問したところ、「薬の効果はゆっくり現れる」ことを正しく理解している患者は69.6%、「自覚症状がなくなっても、しばらくは飲み続ける」ことを正しく理解している患者は81.0%でした。
一方で、副作用については、「効果が現われる前に吐き気やむかつきが現われることがある」(59.9%)、「服用を急にやめると、めまいなどの症状が現われることがある」(57.2%)、「服用初期に不安/いらいら感が一時的に現われることがある」(50.6%)と、効果や服用方法と比較して、副作用は正しく理解されている割合が低い傾向がみられました。


「抗うつ薬に対する不安・心配・抵抗感」の背後には、「抗うつ薬には依存性や習慣性がある」という誤った認識が隠れている
「抗うつ薬に対する不安・心配・抵抗感」があるために、自己判断で抗うつ薬の服用量・回数を減らしたり、服用をやめてしまった患者358人では、「抗うつ薬には依存性や習慣性の強い薬があると思う」と回答した患者が56.1%と高い割合を占めました。


主治医とのコミュニケーション・周囲のサポート
主治医とのコミュニケーション良好群は、不良群と比較して服薬遵守率が高い
主治医とのコミュニケーション状況について、主治医の要素(説明が分かりやすいか、患者の意向を考慮しているか、など)と患者自身の要素(不明・不安な点は尋ねているか、自分の希望を伝えられているか、など)に分けて質問し、全ての項目にポジティブな回答(そう思う、ややそう思う)をした患者を「コミュニケーション良好群」、それ以外の患者を「コミュニケーション非良好群」としました。
その結果、抗うつ薬を「意図的に違うように飲んだ/飲まなかった」患者の割合は、「非良好群」の41.8%に対して、「良好群」では29.1%と、両群において大きな差があることが確認されました(図4)。




4割の患者は主治医と「治療目標について話し合っていない」
主治医と治療目標について話し合ったかどうかを尋ねたところ、「そう思わない」(6.9%)、「あまりそう思わない」(15.0%)、「どちらともいえない」(20.8%)と回答した患者を合わせると、全体の42.7%が「治療目標を話し合っていない」という結果となりました。


7割の患者が「同居している家族」のサポートが重要であると回答
うつ病を治療する上で誰のサポートが重要かを尋ねたところ、「同居している家族」が71.3%でもっとも多く挙げられました。次に続くのが「友人・知人」(38.5%)、「職場の上司」(33.5%)、「職場の仲間」(27.9%)でした。これは「同居していない家族」(24.7%)を上回る割合で、身近な人の存在が患者にとって重要なサポートとなることが確認されました(図5)。




本調査を監修した産業医科大学 精神医学教室教授 中村 純 先生は次のように述べています。
「近年、社会一般におけるうつ病の認知は高まっていますが、8割の患者さんが『依然としてうつ病や患者に対する偏見は根強い』と感じていることが今回の調査によって示されました。また、9割は『焦らずゆっくり治療したい』と考えている一方で、『早く仕事・学校に復帰したい』との回答も6割にのぼることから、うつ病治療に対してジレンマを抱えている患者さんの姿が浮かび上がっています。さらに、半数の患者さんは『できれば薬を飲まずに自然に治したい』と薬物療法に対して消極的な気持ちを抱えていることも確認されました。
患者さんの服薬実態に眼を向けてみると、9割は『主治医の指示通りに抗うつ薬を服用している』と回答しつつも、実際には約4割の患者さんが自分の判断で抗うつ薬の服用量や回数を増減、あるいは服用を中止していました。そして、その背景には『抗うつ薬に対する漠然とした不安・心配・抵抗』があることが明らかになりました。
一方で、『主治医とのコミュニケーションが良好な患者さんは服薬遵守率が高い』という傾向が示されたことは、今後のうつ病治療のあり方を考えるうえで、非常に意義深いと考えます。
近年、医療現場では『医師の指示に患者が従う(=コンプライアンス)』という概念から一歩進んだ『患者自身が能動的・積極的に治療に参加する(=アドヒアランス)』という考え方が重要視されています。
特に長期の薬物療法が必要となるうつ病においては、良好なアドヒアランスの実現が治療効果向上の大きなポイントとなります。
今回の調査で得られた結果を活かし、アドヒアランスの重要性が社会一般に広く浸透して、一人でも多くの患者さんの重症化予防および早期改善につながることを期待しています」。

GSKは、うつ病啓発ウェブサイト「こころのくすり箱」(http://utsu.jp/)を開設しています。本サイトでは、うつ病やうつ病の治療に関する理解をより深めていただく情報を提供しています。

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グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業であり、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすことを企業使命としています。

<参考資料>
※2 調査概要

■調査名:うつ病患者のアドヒアランス実態調査
■調査目的:うつ病患者の服薬状況や治療姿勢に関わる要因を明らかにし、患者が最適な治療を受けられる医療の実践に寄与することを目的とする。
■調査項目:抗うつ薬の服用実態、うつ病や抗うつ薬についての理解、主治医とのコミュニケーション、周囲のサポート
■調査時期:2007年6月
■調査地域:全国
■調査対象:最近1年間に、うつ病治療のために抗うつ薬を処方された20歳以上の男女
■調査方法:インターネット調査
Yahoo!リサーチモニター660,146人のうち、最近1年間に「うつ・うつ状態」で医療機関を受診した7,236人を抽出し、スクリーニング調査の対象とした。スクリーニング調査で得られた4,922サンプルから最近1年間に抗うつ薬を処方された患者2,955人を抽出し、本調査を実施し、回収された2,780サンプルのうち有効回答2,666サンプルを解析対象とした。


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